Google Trendsで複数の候補を比較したところ、24語中20語が0に張り付いた。しかし、これは20語に需要がないことを示す結果ではなかった。アンカーに大きな1語を置き、候補には小さな複合語を置いたため、比較する語の桁が揃っていなかった。

測定し直すときに行ったことは二つある。

  • ジャンルを判断するなら、測定語もジャンルを表すヘッド語に揃える
  • それでも0になる語は、中間の大きさを持つ語を接続点にして測る

この方法で再測定した結果、最後まで0に張り付いた語はなかった。今回の観測から得られた教訓は、「測る単位を、判断する単位に揃える」ことだった。

Google Trendsの100は検索回数ではない

前提として、Google Trendsが示す数値は検索回数の絶対値ではない。指定した地域と期間の中で、検索関心が最も高い地点を100とする相対指数である。

したがって、ある語が50だったとしても、月間検索回数が別の語の半分だとは断定できない。0も「検索回数がゼロ」という意味には読み替えられない。比較の尺度上で小さすぎる語は、順位を付けられる値として現れないことがある。

今回の目的は、記事メディアを立てるジャンルを選ぶことだった。ASPの約140カテゴリを機械的に25件へ絞り、その需要をGoogle Trendsで比較しようとしていた。この選定作業の別の失敗は同じ調査を4つのAIに投げた記録で扱っている。

25件を一度に比較することはできない。Google Trendsで同時に比較できるのは5語までなので、すべての測定に共通語を入れ、複数のバッチを同じ尺度へつなぐ必要があった。

その共通語が「アンカー」である。今回は候補の中から中位に位置する「ゴルフ」を選び、1バッチを次の構成にした。

  • アンカーの「ゴルフ」1語
  • 測定対象の候補4語
  • 合計5語

候補内の語を使えば、アンカー専用の枠を消費せず、比較する語のレンジも揃えられる。各バッチの結果は、ゴルフを100とする比率へ正規化した。

24語中20語が0になった最初の測定

最初の測定では、アンカーに1語のヘッド語である「ゴルフ」を置く一方、候補には「花 定期便」「出張撮影 料金」のような2語のロングテールを置いていた。

ヘッド語は、ジャンル全体を表す大きな1語である。ロングテールは、複数語を組み合わせて目的を絞った語を指す。この二つを同じバッチに置いたため、比較する語の桁が合わなかった。

結果は24語中20語が0だった。これでは候補同士の順位を付けられない。

実行手順を間違えたのではない。測定単位を取り違えていた。選ぼうとしていたのは個別の記事キーワードではなく、記事メディアのジャンルである。それにもかかわらず、候補側だけを個別記事に近い細かな語で測っていた。

そこで、「ジャンルを選ぶのだから、測る単位もジャンルに揃える」と決め、全候補をヘッド語へ変更した。「花 定期便」ではなく「観葉植物」、「出張撮影 料金」ではなく「出張撮影」という単位で再測定した。

測る単位を揃えて再測定する

再測定の取得条件は次のとおりである。

項目条件
地域・言語日本・hl=ja
期間過去12ヶ月(53週)と過去5年(262週)
アンカーゴルフ
バッチ構成アンカー1語+候補4語
正規化候補の週次指数平均 ÷ 同バッチのゴルフ週次指数平均 × 100
取得日2026-08-15

この正規化によって、別々のバッチで測った候補も「ゴルフ=100」という共通の尺度に並べられる。

過去12ヶ月の結果では、資格が47.83、専門学校が20.42、ソファが12.61、印鑑が12.39、スーツケースが10.20となった。最初の測定では0に沈んだ語が多かったが、測定語をジャンル単位へ揃えることで候補間の差が見えるようになった。

ただし、ヘッド語へ直しただけでは解像できない語も残った。

まだ0になる語はWiMAXを接続点にする

通常のゴルフ比較で平均0になったのは、次の5語だった。

  • フードデリバリー
  • 知育玩具
  • 古着買取
  • オプショナルツアー
  • 出張撮影

これらをゴルフと直接比べても、値が小さく、相互の差が見えない。そこで、ゴルフ比1.23の「WiMAX」を接続点にした。

接続点とは、大きなアンカーと小さな候補の間に置く中間の語である。まず通常の測定でゴルフとWiMAXの比率を確定し、次にWiMAXと0に沈んだ候補を同じ補助バッチで測る。これにより、小さな語同士の差を取得しながら、既知のWiMAX比を介してゴルフ基準へ接続できる。

バッチA(通常): ゴルフ 100 ―――― WiMAX 1.23
                                    ↓ 同じ語を橋にする
バッチB(補助): WiMAX ―――― フードデリバリー / 知育玩具 / …

補助バッチは2本に分けて実施され、どちらでもWiMAXの値が一致した。補助測定後の結果は、ゴルフ=100に対してフードデリバリー0.53、知育玩具0.37、古着買取0.36、オプショナルツアー0.29、出張撮影0.13だった。

これらは推測で補った数値ではない。WiMAXを介した補助バッチで得た実測比率である。補助測定後も0に張り付いた語はなくなった。

同じ語を2回測って再現性を確かめる

複数バッチを比率でつなぐ以上、同じ語を測ったときに値が揃うかも確認する必要がある。

検算にはスーツケースを使った。

測定ゴルフ比
1回目10.20
2回目10.1968(四捨五入10.20)
差0.0032

2回の測定結果は、同じ桁へ丸めると10.20で一致した。また、WiMAXを入れた二つの補助バッチでもWiMAXの値が一致した。

この検算が意味するのは、最初の0が測定のノイズではなかったということでもある。手法は再現する。再現する手法で0が出たのだから、原因は手法の外側、すなわち何を並べるかという設計にあった。この切り分けができて初めて、「0=需要ゼロ」という読みを退けられる。

12ヶ月の比率だけでは季節性を見落とす

年間平均の比率が同じでも、関心が集まる時期は語によって異なる。過去5年について、各語の平均を100とした月別傾向を見ると差があった。

印鑑は3月が130、12月が84。知育玩具は12月が171、3月が80。出張撮影は9月が138、7月が82だった。

ここでの100は、ゴルフを100としたジャンル間比較ではなく、それぞれの語の5年平均を100とした月別傾向である。二つの100は意味が異なるため、混同できない。

年間平均は候補同士の規模を比べる材料になり、月別傾向はその需要がいつ強まるかを確認する材料になる。

この結果だけで「狙うジャンル」は決められない

今回の測定から判断できるのは、候補を同じ単位と尺度で比較したときの相対的な位置である。

Trendsの指数を検索回数へ変換することはできない。また、ヘッド語で測った数値はジャンル全体の需要であり、実際に作る個別記事のキーワード需要ではない。

需要が大きいジャンルには、競合が厚い可能性もある。資格47.83が出張撮影0.13より高かったとしても、それだけで資格を選ぶべきだとは決まらない。今回の表だけでは、需要がありながら競合の薄い隙間までは判定できない。

一方で、最初の0張り付きを「需要がない」と受け取って候補を捨てていたら、その後に得られた差は見えなかった。

今回の一連の測定では、0は候補の評価ではなく、測定設計を見直す合図だった。同じ状況に遭ったとき、この事例に即して確認する順序は次のようになる。

  1. 比較に入れた語の粒度が揃っているか(ヘッド語とロングテールが混在していないか)
  2. アンカーは候補の中位から選んでいるか
  3. それでも0が残るなら、値の付いている中間の語を接続点にして補助バッチを組めないか
  4. 同じ語を2回測って、値が再現するか

4は省略したくなるが、これがないと「設計を直したから値が付いた」のか「たまたま値が付いた」のかを区別できない。今回は差0.0032という一致があったからこそ、最初の0を測定設計の問題として確定できた。